director's voice

鷺谷綾子さん(ガラス)

Q1
石川県金沢市でガラス作品を制作する鷺谷綾子さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
パート・ド・ヴェールの器と、アクセサリーを少し出品予定です。
パート・ド・ヴェールは、粘土やワックスで作った原型を石膏で型取りし、
原型を取り出した中にガラスの粉末を詰め、電気炉で焼成し成形する鋳造技法です。

石膏型は一度しか使えなかったり、ガラスをパウダーになるまで粉砕したりと、
なにかと手間のかかる技法ですが、細かいガラスが気泡をたくさん含むことで生まれる、砂糖菓子のような柔らかい質感に惹かれ制作をしています。

器としての機能性も意識しつつ、そっと眺めていたくなるような色彩や輪郭、しっとりとした触感を大事にしています。

酒器いろいろ

ろくろで一つ一つ原型を作っています。
白いパウダーのガラスに色を混ぜたパーツをのせて焼成していますが、どんな風に色が流れてくれるのか、石膏型から割り出すまではわかりません。
意図したところと意図しないところ、作っていても楽しい作品です。

形もいろいろ、色もいろいろ。
選ぶ楽しさを感じていただけたら嬉しいです。

淡い色の中に黒い粒々が入った、蒟蒻のような、寒天のような見た目の器です。
黒い点々があることで、ガラスの奥行きが感じられるところが気に入っています。
同じ蒟蒻風味の器で丸皿、角皿なども出品予定です。

デザートカップ

以前大きめのカップを作った際、湯口(ガラスを充填する部分)にガラスが残って高台みたいになっていたので、残したまま加工してみるとなんだかいい感じに。
その形が気に入って、小さい高台付きのカップを作りたいなと思い、できた器です。
ヨーグルトやフルーツ、サラダなど、ちょっと盛りにちょうどいいサイズです。

Q2
鷺谷さんの工房で、大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
手磨きに使用している道具です。(すみません。一点とあったのですが、セットということで、、)
研磨作業の大まかな部分は機械を使いますが、機械ではやりづらい部分や最終の仕上げは手磨きで行っています。
上と左下はダイヤモンドパッドです。上のパッドはスポンジが付いていて折り曲げて使えるので、器の内側を磨くのに重宝しています。
右下は砥石です。砥石は形に沿って削れてくれるので、口元などの曲面の凹凸を整えたい時に使うことが多いです。
いずれも消耗品ですが、作品を仕上げるために欠かせない道具です。

Q3
鷺谷さんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
佐渡へ行った際に購入した裂織のペンケースです。
衣服や布を裂いてつくった糸を織り込んでいく裂織は、すべて一点もので柄も様々。
なので、選ぶのにとても迷った記憶があります。

地域のお母さん達が作られていて、売場にいた方がどんな柄にしようかな、こんな風にしたらかわいいかな、と考えながら作っている、と楽しそうにお話されていたのが印象的でした。
柄も気に入っていますが、作りもしっかりしていて使いやすいので、ずっと愛用しています。

砂糖菓子のような美しい表情のパート・ド・ヴェール。
(鷺谷さんは、こんにゃくのような寒天のようなと・・・)
白にいくつかの色彩が加わって、その質感を印象的に仕上げられています。

鷺谷さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜中心部。
賑わいの中で、優しく晴れやかなガラスの作品がどのように輝くことでしょう。

鷺谷綾子さんのインスタグラムはこちらです。
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